西原理恵子原作の実写映画『ぼくんち』

原作西原理恵子の『ぼくんち』の実写映画

西原理恵子原作の実写映画『ぼくんち』

西原理恵子の人気漫画「ぼくんち」が映画になりました。原作の「ぼくんち」が連載していたのは「ビッグコミックスピリッツ」です。そして映像化にあたって「ぼくんち」を監督したのは、2000年「顔」で日本アカデミー賞などいろんな映画賞を総なめにした阪本順治監督です。まさに今の邦画を代表する監督といっても良いのではないでしょうか。貧しくても逞しくそして強く生きる姉と弟、そしてそんな姉弟をとりまく人々との触れ合いを独特の雰囲気とテンポで描いています。

姉かの子を演じるのは「ナースのお仕事」など、ずっと第一線で主役をはっている観月ありささんです。そして弟一太には、オーディションで選ばれた現役小学生の新人子役の矢本悠馬さん、そして同じく弟の二太の座を射止めたのは初デビュー作になった田中優貴さんです。

サイバラワールドなセリフが、作中の中にも登場します。漫画の中のサイバラワールドよりも、映画のほうがとてもハートフルな言葉になっているので漫画のサイバラファンにするとサイバラワールドじゃない~!!と思うかもしれませんが、漫画のサイバラワールドとは違ったマンガにはないそしてマンガだとできない表現の「ぼくんち」です。「ぼくんち」の舞台となっている「うらぶれた水平島」ですが、このうらぶれた感じと雰囲気が見事に再現されているので、観ていると思わず自分が「うらぶれた水平島」の住民になったような、そんな気持ちになってしまいます。


「ぼくんち」のあらすじ

一太(矢本悠馬)と二太(田中優貴)の兄弟が住んでいるのは、うらぶれた水平島の中ですが、その水平島の中でも特にビンボー人がふきだまっている、うらの港に住んでいます。奔放なかあちゃんの今日子(鳳蘭)は買い物に行くと言って出かけていってから、すでに半年も家には戻ってきていません。そして一太と二太のとうちゃんは、物心ついたときからいません。

ある日のことです。久しぶりにかあちゃんが、ずっと離れて暮らしていた姉ちゃんのかの子(観月ありさ)を連れて帰ってきました!「姉ちゃん?!」と、一太と二太はかあちゃんが突然連れてきた姉ちゃんに驚きますが、かあちゃんとは違ってとても優しいかの子姉ちゃんなので、一太と二太が懐くのにはそんなに時間はかかりませんでした。

びんぼーだけど、ひとつ屋根の下で、食卓を囲みながらかの子姉ちゃんと一太と二太は喜びます。かあちゃんは姉ちゃんを連れてきてから、またすぐにいなくなってしまったけど、かあちゃんがいなくなってしまったことに落ち込む一太と二太のふたりに「そんなら、今日からあたしがあんたらのおかあちゃんや!」と笑って言ったかの子姉ちゃん。こうして姉弟の3人の、びんぼーだけどささやかな暮らしが始まりました。

親もいなければ、お金も無い。びんぼーな家庭ですがそれでも逞しく生きている一太と二太を見守るのは、ちょっと可笑しな水平島の人たちです。町のチンピラのコウイチ(真木蔵人)は生傷が絶えない乱暴ものですが、女性や子供にはとても優しい男です。

猫ばあ(新屋英子)が、なんで猫ばあと呼ばれているかというと、猫のように子供をバンバンと産んだので猫ばあと呼ばれています。そして猫ばあは野良猫に囲まれて、暮らしています。鉄じい(志賀勝)は、川のほとりに住んでいて鉄がつく呼ばれ方をしている通りに鉄屑を集めています。男やもめで、3人の子供と一緒にビニールハウスに暮らしている末吉まもる(岸部一徳)は、コウイチからの下請け仕事で食べていっています。町に1軒しかない中華屋の「新庄」ですが、味はマズイけれど町ではこのお店しかない中華屋さんなのでお店はいつも繁昌しています。

小さな悪党の安藤くん(今田耕司)は、いつもお巡りさんに捕まって、刑務所送りになっていますがこの安藤くんは、二太にいろんな事を教えてくれます。

びんぼーだけど、仲良くかの子姉ちゃんと一太、二太が寄り添っていえる家に困ったことが起こってしまいました。なんと暮らしているこの家の権利書が、いつの間にか売られてしまったのです。どうもかあちゃんの今日子が、新しい男に貢いだみたいです。家が売られてしまったので、家を出て行かなくなるはめになったために、かの子は一太と二太の弟たちを養うために、ピンサロ勤めに戻ります。そして小さなマンションを借りました。かの子ねえちゃんに二太は無邪気に甘えていますが、一太はかの子姉ちゃんが一所懸命に働いている姿をみると素直に甘えることが出来ません。一太はかの子姉ちゃんの世話にならないで、早くなんとか独り立ちをしたいと、チンピラのコウイチに裏商売の手ほどきを受けるのでした。

一太は懐かしの我が家に行こうと二太を誘います。そして2人は、空家になっている【ぼくんち】に忍び込みました。一太は自分が一番大事にしている宝物のバッヂを二太に託して、二太の手を振り切りオモテの港を目指して、町を出て行きました。

一太は『いつかお金持ちになって、帰って来たる!姉ちゃんと仲良くせえよ」という言葉を二太に残しました。その一方で、かの子が働いている所に、家出をしていたかあちゃんの今日子が突然ふらっと訪ねてきました。どうやらまたしても、今日子は男に逃げられたようです。そんな様子を見てかの子は呆れますが、それでも今日子を憎みきれません。かの子は結局家を手放してふらりと出て行った母を許して、ある一つの決断をするのでした。


映画「ぼくんち」のキャスト

かの子…観月ありさ
なんともいえず、良い味を出しています。今までの「観月ありさ」ではない役者魂を感じる作品になりました。
一太…矢本悠馬
劇団にも所属しないで、演技は未経験でしたがオーディションで選ばれて見事に演じました。まんがの世界観にぴったりの役です。 
二太…田中優貴
劇団ひまわりに所属している現役の子役です。「ぼくんち」が役者としてのデビュー作品です。もちろんオーディションで選ばれました。
コウイチ… 真木蔵人
チンピラ役にぴったりとはまるほどです。真木蔵人以外にはこのコウイチ役は考えられないほどの適役でした。
今日子(かあちゃん)…鳳蘭
宝塚女優としてかなり有名な鳳蘭ですが、意外なことに舞台に出演していることが多くて映画に出演したのはこの作品が初です。
末吉まもる…岸部一徳
ザ・タイガースとしてミュージシャンとして活躍していましたが、俳優に転身してからも存在感のある役者として数々のドラマやCMに出演して名脇役と言われています。
鉄じい…志賀勝
有名な出演作品には「仁義なき戦い」シリーズがありますが、ヤクザ系の役をやっていたとは思えないほど鉄じいにはまっています。
猫ばあ…新屋英子
猫ばあの姿は、すなかけばあさんのような風貌で白髪にしわくちゃの顔そして笑顔と猫がいい感じです。
ピンサロの女…西原理恵子
原作者のサイバラさんもカメオ出演していらっしゃいます。サイバラファンの方は是非映画も必見です。
安藤…今田耕司
中学生のときに、独立して家出したことがあるほど自立心の高い子どもだったようで、安藤役もぴったりとはまっています。
ツレちゃん…濱口優
よゐことして活動するよりも、ひとりで活動しているほうが多いようにも思えますが、テレビドラマにも出演しているだけあって安定した見事な演技です。
まゆ…氏家恵
この女優さんも名脇役ですね。いろんなテレビドラマに出演しているので、お顔をみたら分かるかもしれません。
ボートの老人…笑福亭松之助
上方落語界の最年長者です。80歳を超えても、長いネタを演じたりテレビ出演も若手と混じって出演したりとエネルギッシュに活動中です。明石家さんまさんの師匠です。
じっちゃん…南方英二
チャンバラトリオの元メンバーのひとりです。2010年2月26日に肝硬変のために77歳でお亡くなりになりました。
床屋…福本清三
「5万回斬られてきた男」として最近知られている福本さんも、床屋さん役で登場しています。
じゅん子…久保田磨希
ドラマの大奥で「美味でございます」で知られてるのではないでしょうか。

貴方の本を買い取ります!